加齢に伴い口腔機能も低下しますが、その状態(オーラルフレイル)を放置すると摂食障害や構音(発話)障害などに繋がり、さらに多くの身体的及び健康障害に繋がるため、早期の診断と適切な対応(リハビリを含めた治療)が重要です。超高齢社会において口腔機能低下の1つである摂食嚥下障害は増加し、高齢者の主な死因とされる肺炎の約7割は誤嚥によって生じると報告されます。誤嚥性肺炎の予防には嚥下機能低下の早期発見とリハビリテーション等の治療介入が必要ですが、現在の嚥下機能評価方法は、嚥下内視鏡検査、嚥下透視検査方法など病院内の専用設備が必要で患者負担も大きい嚥下評価法しかありません。
嚥下と発話で使用する器官は舌や口腔・咽頭など共通部分が多く、会話から嚥下機能を評価できる可能性に着目し、嚥下機能障害を会話時の音声データから評価可能なプログラム医療機器を開発しています。当社は、東北大学の複数の診療科(耳鼻咽喉科、歯科、医工学部リハビリテーション科)及び日本電気株式会社(NEC)と共同で、東北大学病院嚥下治療センターに受診する患者の話す音の全周波数の時系列データの分析に特化したAIエンジン(時系列モデルフリー分析)を用いて解析しており、現時点で、健常者の音声のベースライン(性差、年齢差、個人差等)を確認し、健常者の発音と患者の発音の違いを検出し、嚥下機能の低下を診断するAIが開発出来ています。
今後、嚥下機能低下を有する高齢者医療データをさらに学習させることで、実用化に向け開発を進めます。
本プログラム医療機器が実用化されれば、誤嚥性肺炎等を生じる可能性のある嚥下機能低下患者を簡便かつ早期に診断することができると期待されます。2023年3月、東北大学と共同で知的財産権を出願しました。