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皮膚血管肉腫 第Ⅱ相試験プロトコールに関する論文掲載のお知らせ

当社 PAI-1 阻害薬 RS5614の皮膚血管肉腫第Ⅱ相医師主導治験のプロトコールに関する論文が科学誌「Experimental Dermatology」に掲載されましたのでお知らせいたします。

Fujimura T, et al. Efficacy and safety of TM5614*1 in combination with paclitaxel in the treatment of paclitaxel-resistant cutaneous angiosarcoma: Phase II study protocol. Experimental Dermatology. 2023 online. (http://doi.org/10.1111/exd.14976)

皮膚血管肉腫*2は、血管内皮細胞*3ががん化した極めてまれな腫瘍です。皮膚血管肉腫に対しては抗がん剤パクリタキセル*4が1次治療薬となっていますが、化学療法(パクリタキセル)と放射線療法を併用しても、大半の症例では長期的ながんの縮小あるいは消失を得ることが難しいです。しかし、現在ではパクリタキセル不応答性の血管肉腫に対する標準的な治療法はなく、2次治療として有効性・安全性の高い治療法の開発が望まれています。

血管内皮で産生されるPAI-1は血管肉腫に強く発現し、PAI-1 の発現が強い血管肉腫はパクリタキセルの効果が不充分であることが報告されています。非臨床試験からPAI-1阻害薬RS5614とパクリタキセルの併用により、血管肉腫細胞のアポトーシス*5が増強される可能性が強く示唆されます。

パクリタキセルによる治療歴を有しパクリタキセル無効後もパクリタキセル投与が継続されている再発あるいは切除不能な患者(2次治療患者)を対象に、パクリタキセルとRS5614の併用投与の有効性及び安全性を検討する第Ⅱ相医師主導治験を、東北大学、自治医科大学、九州大学、名古屋市立大学、国立がん研究センター中央病院、がん研究会有明病院等の大学/医療機関と共同で本論文のプロトコールに従って実施します。本研究で有効性を検証できれば、有効な治療薬のない皮膚血管肉腫患者に対して新たな治療法が提案できます。

本プロジェクトは、2023年10月26日にお知らせしましたように最初の被験者と登録し第Ⅱ相試験を開始しました。当社はできるだけ早く本薬剤を皮膚血管肉腫の患者様にお届けしたいと考えています。

*1       TM5614

RS5614(PAI-1阻害薬)の臨床開発番号

*2        皮膚血管肉腫

血管肉腫は皮膚がんの一種で、とりわけ頭皮の血管肉腫は100万人当たり2.5人程度とまれですが、極めて悪性度が高く、急速に進行し5年の無病生存率は20%以下と報告され、標準的な治療法は確立されていません。各施設ですぐに複数の治療が実施されます。

*3        血管内皮細胞

血管の内腔を覆う細胞です。血管内皮細胞は血管の構成要素となるだけでなく、血液と組織が酸素や栄養素などの物質交換を行う場として働き、さらには様々な生理活性物質を産生して組織や臓器の機能を維持する働きがあります。

*4        パクリタキセル

太平洋イチイの樹皮から抗がん作用が見いだされた化学療法剤(抗がん剤)で、現在は化学合成されています。細胞の分裂に関わる「微小管」に結合して、がん細胞の分裂をとめ、死滅させる(細胞死)と考えられています。

*5        アポトーシス

不要になった細胞を除去するため、細胞自らがプログラムを作動して自殺する細胞死現象をいいます。