当社は東北大学と共同で人工知能(AI)を活用した糖尿病治療支援システムを開発しています。共同研究者である東北大学糖尿病代謝内科の片桐秀樹教授の、本プロジェクトに関するインタビュー記事が2022年11月25日号科学新聞に掲載されましたのでお知らせいたします。
(本プロジェクトの概要)
わが国には糖尿病患者が約1,000万人、うちインスリン治療中の患者が約100万人います。インスリン治療は糖尿病合併症を予防する最も重要な治療ですが、その種類も多く、また低血糖の副作用があるために、非糖尿病専門医による使用が妨げられています。さらに、糖尿病専門医は医師全体の2%もいないため、糖尿病患者の多くは非専門医による診療を受けており、糖尿病に関連する合併症の発症抑制は限定的で、患者様個人及び社会全体にとっても大きな負担となっています。
当社は、東北大学と共同で、非糖尿病専門医にも専門医レベルのインスリン治療を実行できるよう支援するAIをコア技術とするインスリン治療支援システムを開発しています。 2019年から東北大学病院糖尿病代謝内科の入院患者データを用いて、この課題に取り組んできました。本事業で開発するAIは、全国に普及している簡易測定血糖値をデータ源としてインスリン投与量を予測しますので汎用性が高いです。ディープラーニングをベースにしたAIアルゴリズムを活用し、既にインスリンの投与量を糖尿病専門医と1単位の誤差で予測するAIの開発に成功し、複数の専門医から実臨床でも使用可能なレベルと評価を受けています。
本プロジェクトは、今年度、日本医療研究開発機構(AMED)の医工連携イノベーション推進事業に採択されました。今後、AMEDの支援を得て、さらにAIの精度を向上させ、臨床試験で有用性を検証して、本AIをコア技術とするインスリン治療支援システムを開発し実用化する予定です。
本AIにより、糖尿病慢性合併症や入院中の有害事象の抑制などが期待できます。また、糖尿病患者のご家族にとっても、患者の糖尿病慢性合併症の抑制が介護負担の減少にも繋がると考えられます。また、本AIは、糖尿病非専門医や医療機関の負担軽減にもつながると期待され、本プロジェクトは、医療従事者、医療機関、家族にとっての価値を創造し、合わせて社会保障給付費の顕著な低減など社会全体に大きく貢献できると考えられます。
なお、科学新聞の記事は以下のリンクをご覧ください。