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フェニルケトン尿症診断薬に関する論文掲載のお知らせ

当社は、医学的あるいは社会的にも重要な課題である少子化の医療課題に取り組んでおり、女性や小児の疾患の研究開発に注力しています。

この度、当社が開発を進めているフェニルケトン尿症診断薬についての論文が、科学誌「Molecular Genetics and Metabolism Reports」に掲載されましたのでお知らせいたします。

Wada Y, Totsune E, Mikami-Saito Y, Kikuchi A, Miyata T, Kure S. A method for phenylalanine self-monitoring using phenylalanine ammonia-lyase and a pre-existing portable ammonia detection system. Molecular Genetics and Metabolism Reports. 2023 online.

フェニルアラニンは生体内タンパク質を構成するアミノ酸の1つで、体内で酵素によってチロシンという別のアミノ酸に変わります。この酵素活性が生まれつき低いためにフェニルアラニンが代謝されずに体内に蓄積してしまう疾患がフェニルケトン尿症で、難病に指定されている小児疾患です(指定難病240)。

この疾患は、適切な治療を行わないと知能発達遅延やけいれんなどの重篤な症状が出現します。1977年に生後マス・スクリーニング検査が実施され、ほぼ全ての患児が早期に発見されるようになりましたが、患児はフェニルアラニン(Phe)を制限するための食事療法*1を正しく行う必要がありますが、数か月に1度医療機関で血中のフェニルアラニン濃度の検査を受診するだけでは、きめ細やかな食事管理ができません。

当社は、東北大学と共同で、自宅で簡便かつ正確に血中フェニルアラニン濃度を測定するシステムを開発しています。今回掲載された論文は、この血中フェニルアラニン測定系(”PheCheck”)の開発及び原理を詳細に記載したものです。当社は、この新規検査系をキット化し、自己管理の保険償還に繋げることを目的としています。糖尿病患者での自己血糖管理*2のように、家庭でいつでも自己測定が可能になれば、フェニルケトン尿症を有する患者のきめ細やかな食事管理が実現できます。

*1 食事療法

食事からのフェニルアラニンの摂取量を少なくし、フェニルアラニンの蓄積を防ぐことが重要です。フェニルアラニンはたんぱく質に含まれているため、フェニルケトン尿症の患児はたんぱく質の摂取を制限する必要がありたんぱく食品を食べることを控えます。低たんぱく食(野菜、いも類、果物など)に加え、治療用ミルク(フェニルアラニン除去ミルク)で不足した栄養を補うことが中心になります。

*2 自己血糖管理

糖尿病患者が、血糖自己測定器を用いて自分自身で血糖値を測定し、自ら血糖値をコントロールすることを言います。血糖値は、食事、運動、薬、体調など、さまざまな要因によって変動しますが、血糖値を自分で測定し管理すれば、どんなときに高いあるいは低いかを把握することができます。なぜ高かったのか、あるいはなぜ低かったのか、その原因を考えて生活や治療に活かすことで、良好な血糖コントロールが可能になります。

関連リンク:https://www.renascience.co.jp/pipline/feni/