当社は2022年1月、東北大学大学院医学系研究科メディシナルハブ(宮城県仙台市青葉区星陵町2-1 医学部5号館)に、東北大学レナサイエンスオープンイノベーションラボ(TREx)を開設しました。TRExに関するインタビュー記事が、仙台市ホームページ「進出企業等の声」に掲載されましたので、お知らせいたします。
仙台市の記事は以下のリンクをご覧ください。
https://www.city.sendai.jp/invest/interview/renascience.html
TRExの設立経緯・成果及び当社の研究開発の特徴を補足説明いたします。
当社は創業当時、腎臓病の疾患動物モデル飼育施設を含む研究所を神奈川県・川崎バイオ特区に有しておりました。その後、研究対象が腎臓病から多くの疾患領域に拡大し、研究段階が基礎から治験へ進むにつれ、当初の腎臓病の疾患動物モデルを主体とした研究所は閉鎖しました。しかし、研究開発には実験を行う機能に加え、多くの疾患領域に対する最先端の科学技術成果の活用の「場」、医師や研究者とのFace to Faceの交流の「場」、行政や医療産業企業とのオープンイノベーションの「場」が必要であると考え、上場後にTRExの開設に至りました。TRExは2021年4月に締結された「仙台市と東北大学との地域経済発展に関する協定」に基づく拠点立地の第一号案件でもあります。TRExの成果として、1)東北大学大学院医学系研究科の研究者、東北大学病院の医師、メディシナルハブに参画する企業、行政など異業種との連携が加速され、2)既存の開発パイプラインの研究推進と複数の新規シーズの導入ができ、3)医師主導治験の実施、医療データの取得、公的資金獲得、許認可戦略の立案などを効率的、迅速に対応できており、さらに4)人材の育成と確保にも繋げられており、当社の強みである研究開発の高い効率性をさらに加速することができています。
当社としては、今後、東北大学以外の大学との連携にも注力したいと考えており、大学の特色や強みを生かした研究開発拠点を設ける予定です。これまでの製薬企業や創薬ベンチャーの多くは、パイプラインのバリューチェーン(開発の全ての工程を積み上げていく)を自社で全て構築し、事業価値を高める戦略を取っています。しかし、医薬品のように成功確率が極めて低く、開発期間が長く、投資が大きな分野では研究開発及び事業リスクが大きいため、多くのパイプラインを組み合わせたポートフォリオを形成し、リスク分散をすることが不可欠です。大手製薬企業は潤沢な資金を背景に、パイプラインのバリューチェーンすべてを自社独自で形成するという従来の枠組みでの開発が可能ですが、資金が潤沢でないベンチャー企業の場合、そのような枠組みで複数のパイプラインの開発を進めることはなかなか難しいのが現状です。このような問題を解決するため、当社は外部機関(研究機関、医療機関)のリソースを活用し、低コストで高い効率の開発を実践してきました。すなわち、当社が保有する大学などの研究機関、医療機関、製薬企業、その他の外部機関との幅広いネットワークを活用したアライアンスによりバリューチェーンを構築することを考えており、これまでの創薬ベンチャーとは戦略、研究開発、人的資源管理などが異なります。自社で抱える人的リソースや経費は最小化して多くのパイプラインを広げ、モダリティも展開できていますし、また開発の成果も出つつあります。社内の自己資源や環境にこだわるのではなく、むしろ外部資源や外部環境を積極的に活用することに注力し、効率的にイノベーションを創出する枠組みを構築していきたいと考えます。